平成7年度 研究報告 大分県産業科学技術センター
CAD
,CG
等のデザイン支援機器の応用研究
一地場製品の本質価値創造の開発研究一
坂下 仁志・安田 直美
企画・デザイン部
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要旨
コンピュータのハードウェア,ソフトウェアともに日進月歩を続ける状況をうけて,近年,製品開発におけるデザイ
ン作業の高度化,効率化を図る機器としてCAD,CG等のコンピュータシステムの積極的な導入・活用が進んでいる.
当所においても先端的なデザイン作業支援機器を導入し,その機能を生かした造形表現や各種のシミュレーションにつ
いて研究を進めていくとともに,それらの機器の開放を通して,地場産業の支援,デザイン機器の普及を図る.
また,デザイン作業の重要な表現・コミュニケーション。評価手段である,各段階におけるプレゼンテーションでは,
シルクスクリーン印刷の活用や製品試作的なモデリングが行われるが,こうした作業の支援機器,素材についても活用
研究を進める.
印刷やモデリングについても効率化,高質化をめざした
活周の手法について研究を進める.
2作業の範囲
①デザインの専門分野,デザイン作業プロセス,作業内
容および,CAD
,CG
との関係整理.
②・コンピュータ・デザインシステムで作図・作画等の
プレゼンテーション機能確認.
③シルクスクリーン印刷のための製版工程の機能確認.
耳モデリング(縮尺模型の試作)機器の機能確認。 1日的
CADやCGで構成したコンピューターデザインシス
テムは,新しい時代に無視できない支援機器であること
から,工業、視覚伝達、環境等の各デザイン分野で要求
されるデザイン作業の効率化,高度化のためのツール類
(道具を含む)としての可能性を探り,地場産業のデザ
インスキル。レベルの向上を図る.
当面は,CAD,CGのコンピュータ・デザインシス
テムが持つ諸機能について,デザイン作業に応じて引き
出し、その活用研究を進める.また,シルクスクリーン
Fi g.1デザインワークの関係
平成7年虔 研究報告 大分県産業科学技術センター
F壷9.3 コ ンピュータ・デザイ ンシステム
平成7年度 研究報告 大分県産業科学技術センター
その後,色彩,質感のシミュレーションとともに,シ
ェーデイング,レンダリングを行うまでの総所要時間は
およそ15時間ほどであった.これらのデータサイズは
ワイヤーフレームデータで1MB程度,レンダリングを行
ったピクチャデータで5MB程度であった.
また,これをハードコピー出力するための所要時間は
3∼4分であった,作成したデータをもとに形態の変形
(相似変形声 縦・横・高さの比率を変える変形),カラ ー変更,マッピングデー タを使っての質感変更や背景を 加えた合成等が可能になる.
も十__+
3デザイン作業と適用
産業の発展・拡大に伴い,デザインがかかわる領域も
巨大化するとともに分業化・専門化がすすみ,その分類
も困難になりつつあるが,大まかに言ってビジュアル・ デザイン,インダストリアル・デザイン(プロダクト・ デザインと言うこともある),環境デザインの3つに大
別でき,これらがクロスオーバーしながらデザインがな
されていると言える。これらの作業概念を整理したもの
がFi g舞1,Fi g.2およびデザインのワークプロセスのフロ ー図(本号の別報参照「インダストリアルデザインの導
入と研究」)である.なお,当所のコンピュータ。デザ
インシステムは新しく導入されたものであり,そのシス
テムはFi g.3に示すとおりである.本システムの持つ機
能を十分に引き出せるよう,基本的な操作の習熟を目指
すなかで,下記のことを行った.
Vi s uai Des i 9n ■ ● −■ ■ ■ ==−■ −−■ _
Fi g.4断面ワイヤ
璽ndus t r i al Des i 9n Envi 「0n「nent a】De5i 9n
F岳9.2デザインのワ榊クフィ叩ルド
3.13次元CGの作画−−−「船体形状の作成」
H造船から相談のあった′ J 、型船舶のデザイン。設計方 法の合理化支援要請を3次元CGの活用試験のケースス
タディとして取り組んだ.
3次元(Ⅹ,Y,Z)の座標値を以下の手順で入力し,
正確な形状を作成する.
耳船の長さ方向に対する断面形状を表すワイヤを3次元
座標10値入力することで得る.
②ワイヤを53本入力する(F隠湖.
③船は正面から見て左右対称であることから,このワイ
ヤをミラーコピーする。
④船首から船尾まで繋ぐことによって,形状を示すワイ
ヤフレームモデルを得る(F巨g.5).
座標値総数は1060個.これらのデータ人力の所要時
間は約9時間である.
Fi g.5ワイヤフレ岬ムモデル
3.2プレゼンテーションーーー「カッティンク文字.横
断・懸垂幕の作成」
地場産業支援事業の一環として,フェスティバル(展
示・発表会)の企画・実施の機会に恵まれたことからタ
2次元CGとシートカッティングマシン,拡大プリンタ
の活用をケーススタディとして取り組んだ.
①Å1縦サイズ(594× 841mm)の幅である594
mの長尺サイズを想定した,案内・PRのための固形混
じり文書を作成.②長尺プリンターに文書データを送り, 5mの長さの横断幕,懸垂幕を作成した.③ⅩYプロツ
タ的に動作する刃物を持つカッティングマシンに文書デ
ータを送り,粘着材付きの塩化ビニールシートを切り抜
いて,文字・図形を得た.
長尺プリンター,シートカッティングマシンともに装
平成7年度 研究報告 大分県産業科学技術センター
填する専用紙等の消耗品の長さから,最長25m程度ま
で処理が可能である.
3.3シルクスクリーン印刷のための製版工程
シルクスクリーン印刷は,量的には一品制作から中規模
印刷まで,質的には印刷対象を限定しないこと,またそ
のインクの盛りの程度が大きいこと等の刷り上がりの特
徴から,幅広い分野で利用されている.そのための製版
は,吉原稿作成→原稿撮影→現像→乾燥→ポジフィルム
作成と②枠制作→紗張り→感光乳剤塗布→乾燥の二つの
作業を進めた後,Gに〈芝を密着→露光→水洗→乾燥とい
う工程をたどる.デザイン作業に活用しようとするもの
にとって,これらの工程の中で特に原稿作成工程と原稿
撮影工程で使用する機器の変化が大きい.前者はパーソ
ナルコンピュータの高速化,ペイント系,ドロー系の図
形作成やフォント作成のためのソフトウェアの充実およ
びハードコピー出力装置の高精度化に支えられて,これ
まで写植等に頼っていた部分を独自生成することが可能
になった。
また後者では,仕上がりサイズからの指定による自動
倍率計算,原稿に対する倍率指定の両者が可能になると
ともに,ピント調節や露光時間がこ れに自動的に連動す
るようになった.なお,②で使用する紗(一般的にはポ
リエステル繊維の薄布)は特別な場合を除いて70∼3
50メッシュ(糸の本数/i nch)の範囲にあり,今日の
プリンタは400dpi (点の数/i nch)以上が標準になりつ
つあることから,プリンタによるハードコピーがシルク
スクリーン用の原稿として直接使えるようになった.
3義4モデリング(スケールモデルの試作)横器 製品ができる前に,本物の実感を得るために制作する
ことから,種々の素材を駆使して「らしく」を目指すこ
とから,様々の加工ができることが望ましい.機器が持
つ機能を素材とのマトリクスに整理したものが,TabE¢1
である.加工精度については十分な使用実績を積んでい
ないことから,これについては言及しない。
4考察
3次元CGを使っての形態生成の事例が少ないことか
ら,十分な機能把握ができているとは言えないが,今回
のH造船の事例から,形態が似た設計の機会が多い場合
は,入力済みのデータが繰り返し活用可能なことにより, CAD,CGの有効度がより高まることが確認できた.
これまで外注しなくては出来ないと思われていたことが, 2次元CGとカッティングマシン,拡大プリンターの導
入等で可能になり,両者を組み合わせることで,より多
彩な表現も望めるなどデザイン作業とプリプレス(印刷
前工程)の距離がほとんどなくなってきたと言える. シルクスクリーン印刷のための製版工程では,これま
で経験則のようなものの修得が必要であったが,今日の
製版カメラは自動化が進み,コピー機感覚で向き合える
存在になりつつある.
モデリング(スケールモデルの試作)では,目的達成
のためには生産機械,各種工具,素材を工夫と組み合わ
せで処理してきたが,今日ではスケールモデル制作に適
するような機器具が出揃うとともに,3次元CADのデ
ータから樹脂の固化・積層や紙の積層で直接形状を造形
するためのラビッドプロトタイピングシステムも普及期
に入ってきている.
地場産業支援と機械器具の開放利別こついて,これら
の水先案内人的役割を果たせるよう,応用の幅を広げ,
内容を深化させていく.
Tabl el 加工糟能と素材
紙 木 土/陶磁 樹脂 ガラス 金属
切る(好り ○
○
○
/×
○
× ○
切る(曲) ○ ○ ○ /× ○ × ○
切り抜く(曲)
0
○ ○ /× ○ × ○削る(平面) ○ ○/× ○ × ×
削る(円筒) ×
掘る ○
彫る ×
研ぐ ○ ○ /× ○ × ×
磨耗する ○ ○ /○ ○ ○ ○ 曲げる × ○ × ×